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安定と繁栄も継承を

”安定と繁栄も継承を”   Global Insight Vol.13

ASEAN発展の中心地ともいえるタイ。国民はいま、敬愛するプミポン国王の逝去で、静かに喪に服しています。
企業活動などに大きな変化はないものの、国民の多くが、どれだけ慕っていたかを知ることができる姿を、
今、街のあちこちで見ることができます。

10月13日に逝去したプミポン国王は、正式にはラマ9世と言い、第二次世界大戦後まもない1946年からちょうど70年間、 タイを統治してきました。この国の近代国家としての発展を一人で見守ってきたといっても過言ではありません。 この国の歴史に大きな足跡を残してきた国王ゆえ、国内ではいたるところに大きな肖像画が掲げられ、花がたむけられています。


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主要なオフィスビル、ホテル、ショッピングセンターには、必ずといっていいほど、遺影と記帳台が設置され、ビルの壁面や屋上に作られた電飾の広告看板は、国王の若かりし頃の写真と哀悼を表した文章に代わっています。複数の写真をローテーションで見せる看板もあります。 また小売店の店頭のディスプレーや、銀行のATM(現金自動預け払い機)の画面までが、弔意を示すメディアになり、主要企業は業種にかかわらずホームページのトップを弔意の表現に差し替えています。

こうして、さまざまな場所で目にすることができる国王の写真などのデザインは、きれいに統一されていて、あたかも国民が連帯感をもって、国王を見送ろうとしていることを示すかのようです。

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今も、バンコク市内は、普段と変わらぬ活気がありますが、街行く3人に2人以上は、黒い洋服を着ています。ただ喪服の人は少数派で、多くは、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス姿など思い思いのファッションです。強制やお仕着せではない、 自らの意志で黒を着ているのだ、と暗に主張しています。

現在、日本経済にとってタイは、ASEAN最大規模の進出企業数を誇り、過去5年間の直接投資額も中国に次いで第二位と 言われます。静かに節度を持って喪に服するタイの国民性は、日本がこの国を大切なパートナーと考える理由のひとつと 言えるかもしれません。王位とともに、安定と繁栄も、滞りなく継承されることを望む人たちが多いのは間違いないでしょう。

 

バンコクにて、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 社長 為定 明雄(※肩書きは掲載当時のものです)