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イントラクショナルデザインにこだわったコース開発

お客さまインタビュー 日立総合経営研修所 様

日立総合経営研修所様では、働き方改革関連コースとして、ウィルソン・ラーニングと共同で開発をしたプログラム「時間・発言・気力をムダにしないミーティング・テクニック」を展開し、ご好評をいただいています。

※このコースはウィルソン・ラーニングの定期公開セミナーでも実施しています。
 コース名:MT ミーティング改革 実践スキル
 詳細とお申し込みはこちらから

今回は、日立総合経営研修所の、本プログラム開発責任者である堤宇一さんにお話を伺いました。


日立総合経営研修所といえば、GEのクロトンビルをお手本とした日本初のコーポレートユニバーシティとしてご存じの方も多いのではないでしょうか。開設当初は「明日の経営者を育てる」企業内経営者学校として注目を浴び、その後は時代とともにさらに役割を強化し、現在は日立グループ各社の人材育成の中核としてビジネススキル研修、語学研修など多くのプログラムを提供しています。

【Q】堤さんは、教育効果測定、ID(インストラクショナルデザイン)の専門家として著作もあり(※)、人材育成のNPOを主宰するなど多方面でご活躍されています。日立総合経営研修所でプログラム開発という現在の役割を担うようになられた経緯からお伺いできますでしょうか

2005年、46歳の時に日立総合経営研修所にきました。
前職で通信教育のカスタマイズ制作を担当していた時に、成果を証明するための「効果測定」や、学習効果を保証する「ID(インストラクショナルデザイン)」を学ばなくてはと実感することがありました。さらにその後、アセスメントの仕事に従事したことで、教育効果測定では米国の第一人者といわれるジャック・フィリップ氏との出会いが生まれました。彼の主催するNPOのボードメンバーを4年間勤めることになり数々の教育効果測定プロジェクトに関わってきました。そんな折に日立総合経営研修所の社長から「うちに来て品質管理の仕事をしたらどうか」と声をかけていただきました。同時にNPO人材育成マネジメント研究会を設立して研究を継続しながら、日立総合経営研修所でのキャリアがスタートしました。

「品質管理」というのは、研修の品質を評価するためにアンケートやオブザーブシートやチェックシートなど様々な手法でデータを取ることから始まります。しかし、十分なデータを集めて分析をしても、その結果に基づいてプログラムの問題を解決できなければ意味がありません。
そこで、品質管理からプログラム開発を担当するようになったという経緯です。

【Q】日立総合経営研修所として、コースのラインナップやプログラムの内容について今注目しているテーマや重視されているポイントはありますか?

日立総合経営研修所は日立グループ各社の社員だけをお客さまとして研修を提供しています。グループ全体約30万人の内、日本国内が約16万人です。その内、ここで提供しているビジネススキル研修の対象は入社5年目から管理職手前の層になるので、約8万人くらいでしょうか。
ビジネススキル研修として扱うテーマは、多くの研修会社から多種多様なプログラムが提供されていますし、日立グループの社員には外の研修会社の研修を受けに行くという選択肢もあります。つまり、我々のビジネスは、他の研修会社と競争して勝てる研修を提供していかなくてはならないのです。

マーケティング的な視点が大切だと思っています。
たとえば「働き方改革」というテーマであれば、東原社長が旗を振り、グループとして取り組んでいる「日立ワーク・ライフ・イノベーション」に関連づけるということも重要になってきます。テーマの選定はもちろん、パンフレットに掲載するコースタイトルや紹介文が日立グループ社員の心に響くにはどうすればよいかまで配慮します。

【Q】今回一緒に開発をさせていただいたミーティング・テクニック研修は、ファシリテーション スキルではなく、参加者としていかに会議を生産的にできるかという点が最大の特徴ですが、その意図はどのようなものだったのでしょうか?

我々ビジネススキル研修の開発チームが対象とする受講者の7~8割は、会議を主催するよりも、参加者として出席する方が多いというのが実情です。受講者がリアルに困っているのは、ファシリテーションのスキルではなく、つまらない会議をどうやってやり過ごすか(内職するとか)、意味のない会議をいかに我慢するかということだったりするんじゃないでしょうか。だから会議の一参加者であってもイニシアティブをとって会議を変えることができるということを知ることが、役に立つと考え企画しました。

【Q】堤さんがプログラムの開発において重視されているのはどのような点でしょうか?

我々が対象とする受講者市場は一般の企業に比べると大きなボリュームです。研修を数回実施して終わりといった規模ではすみません。同じテーマの研修を最低でも年間4~5回は実施します。人気コースの場合は10回を超えてきます。そして、それが数年間続きます。ですから一人の講師だけでは回りませんし、開催ごとに品質や効果のバラツキがあってはなりません。
その意味で、研修は「工芸品」ではなく、「工業製品」であるべきだと私は考えています。
「工芸品」とは高名な創作家が魂を込めて創り出す作品です。研修でいうなら有名な先生が自身の知見を口伝するようなコースで、その人だからこそ提供できる価値をもつコンテンツです。他の人が再現しようとしても、とても困難です。このようなコンテンツはコストも跳ね上がり、改変の自由度もありません。
一方「工業製品」は、精緻な設計と作りこむ技術が必要ですが、再現可能で品質のバラツキがほとんどありません。効果がインストラクターのキャラクターや話術ではなく、プログラムの構造や仕掛けによって保証されるものです。

【Q】今回、プログラム開発のパートナーとしてウィルソン・ラーニングを選んでいただいた理由は、どのようなところにあったでしょうか?

ウィルソン・ラーニングは、ベースになるコースを持っていたこともありますが、期待レベルのプログラム開発ができるだろうという技術力を買いました。私自身、NPO活動で研修会社の開発業務工程の改善コンサルティングやスタッフ教育を行っていますので(実際やってみないとわからないというところは多々ありますが)、提案書を見ればだいたいわかります。実際一緒にやってみて、私が考えていることをしっかり理解してくれていることがわかりました。
例えて言うと、自分がデッサンしたデザイン画を実際に着られる服に仕立ててくれるというイメージでしょうか。
検討ミーティングは、本プログラムで扱うスキルが発揮された生産性の高いミーティングでした。また、終わった直後に議事録が届く、変更点は合理性のある理由とセットで説明するなど、納得度の高い進め方にも満足しています。

【Q】最後に堤さんの今後の目標、夢、展望をお聞かせいただけますか?

目標は「日本の人材育成の業界を変えたい」ということです。
長年この業界で仕事をしていますが、世間の常識と、この業界の常識はちょっと違うと感じています。たとえば、東京から名古屋まで行く場合、新幹線と東海道線の鈍行列車とでは、どちらが高いですか? 新幹線ですよね。なぜですか?速いから時間を節約できる価値があるからですよね。ところが研修はどうでしょうか?一生懸命技術投資をし、効果的な学習活動を開発して、3日間でやっていた研修を2日間に所要時間を短縮して価値を上げたら、逆に価格は安くなってしまいます。
あるいは、いつもお願いしている優秀なインストラクターを指名しておいて、何度もやるから安くしてよ…となる。美容師だって指名料を取りますよね。指名したら高くならなきゃおかしいですよね。
「人を育成する」という価値ある仕事が、合理性と科学性をもって遂行され、それらの活動成果を正しく価値づけされる業界にしたいと強く思います。

堤さん、貴重なお話をありがとうございました。
ぜひ、これからも価値ある人材育成の取り組みをご一緒させていただければと思います。
(2018年10月30日取材)

※堤さんの著書
『はじめての教育効果測定―教育研修の質を高めるために』(編著)日科技連出版社 2007
『教育効果測定の実践―企業の実例をひも解く』(編著)日科技連出版社 2012
『越境する対話と学び―異質な人・組織・コミュニティをつなぐ』(共著)新曜社 2015

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