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逆境での底力!レジリエンスを高めて強い組織を作ろう

ウィルソン・ラーニングでは人材・組織開発分野における世界最大会議「ATD」に毎年出展していますが、2018年の講演が好評だったことを受けて2019年ATDで招聘講演を行います。
依頼いただいた講演テーマは、世界的にも注目されている「エンゲージメント」と「レジリエンス」です。
※「レジリエンス」は同時通訳が入ります

この記事では、4月に弊社のグローバルR&Dバイス・プレジデントであるマイケル・ラインバック博士が日本で行った先行講演をもとに、レジリエンスという観点から「環境の変化に負けない強い組織の作り方」について解説します。

レジリエンスとは

企業で働く以上、ある日突然、新たな業務を命じられる可能性は誰にでもあります。

定期的な人事異動に限らず、企業の統合や再編、自然災害や事故などによって業務が大幅に変更されるというケースも考えられます。
このような環境の変化が起きると、人は「納得がいかない」「以前は〇〇だったのに」というネガティブな感情を抱くことがあり、それによってパフォーマンスの低下が起こりやすくなります。

しかし、従業員一人ひとりが困難な状況下で変化に適応するための力=「レジリエンス」を向上させることで、組織は逆境をバネに成長することができるのです。

では、「レジリエンス」とは何なのか? 解説していきましょう。

組織におけるレジリエンスの意味

レジリエンス(resilience)とは、衝撃による屈折や圧迫が起こった後に「元の姿に戻るための力」です。

米国マサチューセッツ工科大学の研究によると、ビジネスに破壊的な影響を与える出来事(企業の合併・買収、景気後退、自然災害、事故など)が起きた後の組織のパフォーマンスに、レジリエンスが大きく関わっていることがわかっています。

破壊的な出来事の影響



一般的に、環境の変化による衝撃が起きた直後、組織のパフォーマンスは直接的な被害の影響で急激に下がります(図①)。
その後、二次的な影響を受けてパフォーマンスはさらに低下します(図②)。
そして、時間をかけてなんとか回復した後も、パフォーマンスの高さはかつてのレベルに戻らない(図③)ことが証明されています。

しかし、組織のレジリエンスを高めることで、環境の変化が起きても二次的なパフォーマンスの低下(図②)を小さくしたり、回復するまでの時間を短くすることができます。
また、最終的なパフォーマンスの低下(図③)を防ぐ、あるいは最小限にとどめたりすることもできます。

なぜレジリエンスが注目されるのか

企業の合併や買収といったビジネス環境の変化や、災害のような予期せぬ衝撃によるパフォーマンスの低下は、昨今どんな人や組織にも起こりうる事象です。
そのような状況下で、組織の一時的なパフォーマンスの低下は避けられないとしても、衝撃からいかに早く立ち直り、限りなく元の姿に近い状態に戻るかが重要となります。

だからこそ、レジリエンスがこれからの時代に求められる新しい力として注目されているのです。

従来、困難に対峙した際の「強さ」と言うと、「失敗しないこと」や「困難と戦うこと」がイメージされがちでした。
しかし、昨今のビジネス界においては、環境の変化に対応できる柔軟性こそが真の強さであるという認識が広がっています。

そこで、個人のレジリエンスを鍛えながら組織全体のレジリエンスを向上させることが組織のリーダーに求められているのです。

個人のレジリエンスを高めるには

続いて、個人のレジリエンスについて考えてみましょう。

否定的な気持ちをポジティブに転換する3つのステップ

環境の変化は「自分は何かを失うのではないか」という危機感を人に与えます。

たとえば、ジョブ・ローテーションで以前と異なる業務を任命された人は、「昔は別のスキルで評価されていたのに」というアイデンティティを失ったり、「次に何が起こるかわからない」と不安に陥ったりすることがあります。

こうした個々人の喪失感をポジティブな思考へ転換させることができれば、個人のレジリエンスは高まります。
しかし具体的にはどうすればよいのでしょうか。

実は、喪失感が生まれる前には、必ず自分自身のものの見方(自己対話)が存在します。
自身のものの見方(自己対話)が否定的になっているために、喪失感につながっているのです。

ここでは否定的な自己対話を変えていくための3つのステップをご紹介します。

そもそも喪失感による言動は次の4つに分類することができます。
まず、否定的になっている自分の気持ちを自覚し、「自分がどの種類の喪失感を抱いているのか」を見極める必要があります。

喪失感の言動への反映喪失感の言動への反映 英

そして、以下のステップに沿って、否定的な思考を中断して自分自身と向き合うのです。

Stop Challenge Focus

Step1: 自分の中にある否定的な思考(否定的自己対話)を中断(Stop)する
Step2: 自分自身と向き合い、自分が言っている/考えていることを再確認する(Challenge)
Step3: 本当に必要な言動や感情に焦点を当てることで、自己対話をポジティブなものに変えていく(Focus)

「これを機に新たなスキルを身につけよう」「何事にもチャレンジしてみよう」などとポジティブな思考に集中できるようになることが重要です。

メンバーのポジティブな思考を引き出す方法

では、組織のリーダーは、メンバー一人ひとりのレジリエンスを高めるためにどのようなアクションを起こすべきでしょうか?

メンバーが喪失感を抱いた際、その反応はさまざまな言動として表れています。
リーダーはその言動をもとに、メンバーが抱いている喪失感の種類を見極める必要があります。
その上で、リーダーは自分自身が行うのと同じステップを使ってメンバーのレジリエンスを高めるためのサポートをするのです。

メンバーを支援するための方法を喪失感の種類別にご紹介しましょう。

■方向性の喪失(言動例:「自分はどこに行き、どう働くことになるのか」)

今後の働き方に不安を持つメンバーに対しては、新しい業務の責任を明確にします。
目標だけでなく、メンバーに期待する言動を具体的に伝えましょう。

■不満(言動例:「納得いかない、酷い」)

変化に納得していないメンバーに対しては、不満の内容に耳を傾け、その原因に重点を置いて支援しましょう。

■アイデンティティの喪失(言動例:「以前は〇〇だったのに」)

今後の自分の役割に戸惑っているメンバーに対しては、そのメンバーの存在価値を認め、「自分は期待されている」と自信を持たせることが重要です。

■エンゲージメントの放棄(言動例:「このまま何もしないでおこう」)

困難に対峙して無気力になっているメンバーに対しては、組織への貢献が会社の将来を築くことを認識させてエンゲージメントを回復させましょう。

組織のレジリエンスを高めるには

レジリエンスの高い個人が集まれば組織は強くなる

ここでは、ある2つの企業の事例をご紹介します。

企業Aと企業Bは、ともに携帯電話を生産するライバル同士です。
どちらの企業も生産に不可欠なある部品を、同じサプライヤーに注文しています。

ある時、サプライヤーの工場が火災に見舞われ、各企業の業務部門は部品の納期が2週間ほど遅れることを知らされます。

ここで注目すべきなのが、組織としての反応や対応の違いです。
企業Aの担当部門では、「2週間の遅延は大事に至らない」と判断して社内で情報を共有しませんでした。
一方、企業Bの担当部門は、すぐ関連部門に情報を共有しました。

さて、2週間たっても部品は届きません。

しかし、企業Aでは異変に気づいた人はいませんでした。

一方、企業Bでは問題の長期化にいち早く気づいたリスク管理部門が生産部門と連携し、工場にエンジニアを派遣して問題解決を急ぎました。
また、サプライヤーが持つ別の工場に部品の供給を依頼すると同時に、ふだん取引をしていないサプライヤーにも連絡して必要な部品をかき集めました。

企業Aと企業Bのその後は天と地の差です。

企業Aはこの痛手が元凶となり、2年後に携帯電話の事業を撤退するまでに追い込まれましたが、企業Bは記録的な収益を達成して業界のトップに躍り出ました。
コミュニケーションが円滑な風土、リスクや変化に対する注意力や迅速な対応……企業Bの行動はまさに組織のレジリエンスの高さに裏打ちされたものです。

組織のレジリエンスを高める4つのポイント

先の事例が示すように、レジリエンスの高さは組織の強さに直結します。
ウィルソン・ラーニングは、組織のレジリエンスを高めるポイントを以下の4つにまとめています。

1)個人のレジリエンスを高める

強い組織を作るには、まずメンバー一人ひとりのレジリエンスを鍛えることが重要です。
リーダーは日頃からメンバーの言動に注意し、ネガティブな思考に陥っているメンバーからはポジティブな思考を引き出しましょう。

2)従業員同士でアクションを起こす組織を作る

どんな些細なことでも部門間の連携を重視する組織であれば、いち早く困難を乗り越えることができます。
従業員同士でコミュニケーションを取り、部門の垣根なく協力し合う企業風土を根付かせましょう。

3)社外とのネットワークを大切にする

大きなトラブルが起きた際、社内の努力だけでは問題を解決できない場合があります。
万が一の事態に備え、サプライヤーや請負業者、政府など社外の関係者と良好な関係を築いておくことが重要です。

4)レジリエンスの強化を意識した体制を整える

レジリエンスは短期間で鍛えられるものではありません。
環境の変化に対応できるメンバーを育成するために、業務のクロストレーニングやジョブ・ローテーションを有効活用する他、メンバーに必要な権限を与えて自立を促すことも重要です。

企業の未来はレジリエンスの高さで決まる

環境の変化は組織に対して一時的なパフォーマンスの低下をもたらしますが、逆境は成長のチャンスにもなりえます。
ウィルソン・ラーニングは、個人と組織のレジリエンス向上を目指して、変化に対応できる強い企業を作ることを全力で支援いたします。

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ATD2019 ウィルソン・ラーニングのATDブース情報