「エンゲージメント」を向上させる方法とは?

ビジネス界で「エンゲージメント」という言葉がよく聞かれるようになりました。しかし、日本における捉え方はさまざまです。たとえば、「モチベーションを向上させること」と認識しているケースや「企業へのロイヤリティ(忠誠心)」と同じような捉え方をしているケースもあります。

エンゲージメントという言葉がどのような使われ方をして、何を意味しているのかを確認しながら、それを向上させる方法を考えてみましょう。

エンゲージメントとは

エンゲージメントは、約束、従事、没頭、誓約を意味する言葉として和訳されていますが、もともと「engage」という言葉は古期フランス語の「約束する」に由来しており、一般的な意味以外にも、交戦、歯車のかみ合わせなど多くの意味を持っています。

日本のビジネスシーンでは、次のように使われることが多いのではないでしょうか。

  • ユーザーや顧客がどれくらい商品やサービスに愛着を持っているかを示す度合いとして
  • 「従業員エンゲージメント」として、従業員の企業に対する愛着度をはかる指標として
  • 企業が提供するコンテンツに対してどれくらいユーザーが反応したのかを示す度合いとして

その中でも今回は、主に人事領域で使われる従業員エンゲージメントについて取り上げます。

エンゲージメントの高い社員はどれくらい存在する?

エンゲージメントの高いメンバーが多ければ、組織目標の達成や企業の生産性の向上が期待できるでしょう。

では、そのような理想ともいえるメンバーは、どのくらい実在しているものなのでしょうか?

■日本の「熱意ある社員」はわずか6%

世論調査を手掛けるアメリカのギャラップ社は「エンゲージメント・サーベイ」を実施しています。その調査は世界中のビジネスパーソン1300万人を対象に行われており(調査対象は139カ国)、12の質問「Q12(キュートゥエルブ)」でエンゲージメントを測定した結果が2017年に発表されています。それによると日本の「熱意ある社員」はわずか6%しかいないことが分かりました。

「熱意ある」という言葉に対する受け止め方の違いに影響を受けている可能性を示唆する意見もあり、確かに単純な比較は危険です。それでも米国の32%と比べると大きな隔たりがあり、かつ日本が調査対象139カ国中132位だったという事実は注目に値します。

■「無気力な社員」は24%、「やる気のない社員」は70%

また、企業内で諸問題を起こす「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は驚くことに70%に達していました。

組織や仕事に主体的にコミットするエンゲージメントの高い社員を増やすことは、組織を活性化させ、企業が成長、発展するために欠かせません。

そのためには、組織内の受動的なメンバーのエンゲージメントをいかに高めるかが重要になります。

ビジョンの提示と適切な評価がエンゲージメントを高める

■管理職が明確な経営理念を持ち、メンバー自らビジョンを語れる組織に

「エンゲージメントが高い企業」の特徴の1つとして、経営者や管理職が明確な経営理念を持ち、各メンバーも自らの目指すビジョンや方向性を語ることができる組織、ということが言えます。

会社が将来への見通しや目標のほか、社会的な使命などを明確にして、日頃からメンバーのエンゲージメントを推し測れるように、アンケートでエンゲージメントを可視化することも有益でしょう。結果に基づき、経営陣や管理職が社員のエンゲージメントをさらに高める具体的な施策を打つことが必要です。

アンケートでは部署ごとのデータ取りまとめが大切です。結果を全メンバーに共有し、その上でより良い職場にする方法や理想とする職場像など、エンゲージメントの向上に必要な方法や課題を全員で真剣に話し合うことが重要です。

■公平で透明性のある人事評価の重要性

日本の企業は欧米に比べると、残念ながら人事評価が公平で透明性が高いとはいいにくい側面があります。不透明な人事評価のもと、一部の関係者だけで処遇が決まるのは好ましい状況とはいえません。

人事評価が適切に運用され、成果や貢献度に応じた評価が昇給や昇進に反映されることはエンゲージメントを高める必要条件といえます。

意欲的メンバーを増やすにはリーダーの役割が大きく影響する

ウィルソン・ラーニングでは、グローバル企業に勤務する数千人を対象に「高いエンゲージメントを保つ、またはエンゲージメントを高めるためには何が必要か?」という質問を行いました。そして得た回答のなかで最多となったのは、「リーダーの手本が必要」というものでした。

リーダー自身の言動や行動が従業員のエンゲージメントに大きな影響を与え、リーダーが自ら思考と言動を変革することがエンゲージメントを向上させるポイントであることが明らかになったのです。

■エンゲージメントを高めるリーダーシップ

リーダーが手本となるには、どのような「リーダーシップ」が必要でしょうか?

同調査の結果から、エンゲージメントを高めるリーダーシップには、次の5要素を含む「エンゲージメントカルチャーの創造」が必要とされています。

  1. オポチュニティ
    組織が目指す未来へ従業員が希望を感じられる働きかけ
  2. パーソナルアカウンタビリティ
    従業員がベストを尽くす時に何に対して責任を持っているか明確に示す
  3. コネクティドネス
    従業員同士がつながり、共通の利害や関心、仕事に対して責任を共有している
  4. インクルージョン
    十分な情報があり、自分が何かに関与し、自分の感情や考えを自由に表現できている
  5. バリデーション
    従業員一人ひとりが組織の中で評価され、自分の存在が重要だと感じている

リーダーはこの5要素を意識し、自ら体現し、自身が変わることで社員のエンゲージメントを高めることが可能です。

自らの価値を高める機会とそれに見合った評価を受けられる環境構築が重要

これまでの多種多様な研究や調査結果から、エンゲージメントの向上が企業業績のアップに好影響があることが分かっています。

そして、社員のエンゲージメントを高めるためには手本となるリーダーの存在のほか、社員自らが自分の価値を高める機会があり、またそうした積極的な姿勢を正しく評価してもらえる環境が必須だといえるでしょう。

現在のようにIT(情報技術)やAI(人工知能)の進化で、加速度的に激変する世界では、組織や企業はエンゲージメントを継続して高めなければ生き残れません。エンゲージメントの向上のための取り組みを企業成長の必須要素として考えてみましょう。

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