【ATD Japan Summit 2019】エンゲージメント・カルチャーを育むリーダーシップ

2019年12月5日(木)・6日(金)の2日間にわたりATD 2019 JAPAN SUMMITが開催されました。

ウィルソン・ラーニングは、スポンサーとしてイベントの開催に協力させていただきました。
また、6日のラーニングソリューションズにて、「エンゲージメント・カルチャーを育むリーダーシップ」についてのセッションを開催しました。そのセッションレポートをお届けします。

組織のメンバーのエンゲージメントは誰もが認める重要なファクターであり、難しい課題でもあります。
本セッションでは、自社の組織の状態を知り、エンゲージメントにとって重要な要素を明確にし、メンバーのやる気を引き出すためのアイデアを得る方法を解説しました。

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誰もが自分自身のエネルギーをどう使うか選択している

市場環境の変化、戦略の変更、組織改正、突然のリストラなど、企業の変革はとどまることなく、その変化にさらされるたびに従業員のエネルギーは消耗し、エンゲージメントは低下してしまいます。
こうした変化に対して、自分はどれだけエネルギーを費やすべきなのか。従業員は意識的または無意識のうちに自分のエネルギーの発揮レベルを選択しています。
エネルギーの選択モデルでは、主体的にコミットしている状態、反発したり抵抗を示したり、しぶしぶ従っている状態、ただ受け身でいる状態の3タイプに分けることができます。

リーダーは従業員のエンゲージメントに影響を与える

私たちの調査結果から、「従業員は、リーダーのやり方を見て、自らがエンゲージするか否かの選択をしている」ということがわかりました。
しかし、多くのリーダーは、従業員のエンゲージメントにポジティブな影響を与えるために、自分たちがどのような役割を担うべきかわかっていません。

有害なリーダーシップはエネルギーを奪ってしまう

リーダーシップとコミットメントは密接な関係にありますが、コミットメントはリーダーに言われたからやるのではなく、自ら進んでやりたいと思う気持ちがコミットメントにつながります。

良い手本を示さない、服従させる、高圧的な口調や言動を見せる、権力をかざす、オーバーコントロールとマイクロマネジメントを行う、誠実さに欠けるなど、こうした言動は、エネルギーを奪う有害なリーダーシップとなります。

リーダーシップは、組織のエネルギーに影響を与える最大の可能性を持っています。リーダーは組織にエネルギーを与えることも、失わせることもあるのです。

実際にトムが遭遇した企業の例を紹介します。

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あるICチップメーカーのボスは、ホームエンターテイメント業界に新規参入するため、従業員に経営ビジョンや事業戦略を延々と語り続けました。
ところが、エンジニアたちは次々に会社を辞めてしまったのです。

変化に対して従業員たちは敏感です。
リストラ、戦略変更、組織変更、そうした戦略は、いつ終わり、成功したと言えるのか。
多くの従業員が思っていることは、会社が生き残れるかどうかではなく、その戦略によってどのくらい業績が良くなるのか、そのビジョンに対して自分の役割は何か、何をすれば良いのか、ポテンシャルがどれだけ上がるのか、ということなのです。
それらが共有されなければ、喪失感や疎外感が生まれ、エネルギーを失う結果につながります。

では、従業員が仕事でエンゲージメントを失ってしまう時に、リーダーはどのような働きかけをすることができるのでしょうか。

エンゲージメント・カルチャーを実現するための5要素

従業員がエンゲージメントを高めやすいカルチャーを創造するための5つの要素を紹介します。さらに、それぞれの要素について、リーダーが行うキーアクションを紹介します。

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【1】オポチュニティ

エンゲージメントは、メンバーが自分は何か重要なこと、意義のあることの一部になっていると感じ、何か信じられるものがある時に生まれます。

●リーダーが行うキーアクション

  • ・組織の今後の可能性を作り出すことに焦点を当てる
  • ・一人ひとりのメンバーの貢献(目的)が組織の成功に反映することの重要性を強調する
  • ・一貫した「ストーリー」によって、組織を変革の目標に合わせる

【2】パーソナル アカウンタビリティ

エンゲージメントは、メンバーにベストを尽くすことが求められている時、またメンバーが何に対して責任を持っているかを理解している時に生まれます。このような場合にアカウンタビリティは高まります。

●リーダーが行うキーアクション

  • ・パフォーマンスの目標と期待される言動の両方が明らかになっていることを確認する
  • ・メンバーへの期待を明確に示し、メンバーがその期待に応える責任を果たせるようにする
  • ・メンバーの責任を明確に示すことによって、メンバーが自分の責任を自覚できるようにする。

【3】コネクティドネス

エンゲージメントは、メンバー同士がつながりを感じ、お互いに共通の利害や関心事に焦点を当て、また責任の共有がなされている状況の下で働いている時に生まれます。 従業員はお互い同士のつながりを感じたいと思っています。互いに支え合うような協力的な環境に属していると感じたいのです。

●リーダーが行うキーアクション

  • ・メンバーの間に強いつながりが築かれるように促進する
  • ・機能横断的なチームや期間限定のチームをすぐに活用できるようにしておく
  • ・メンバー間の相互関心と責任の共有に基づく協働の考え方を促進する

【4】インクルージョン

エンゲージメントは、メンバーに十分な情報が伝えられている時、またメンバーに何かに関与していたり、自分の考えや感情を自由に表現できる時に生まれます。つまり、人は自分が物事に「関係」していると感じたいということです。

●リーダーが行うキーアクション

  • ・常に情報が流れ、メンバーに情報が提供される仕組みを確立する
  • ・何が組織を「静かにする(ものを言わなくさせる)」かを理解する
  • ・情報共有における最も重要な要素は、信頼のカルチャーを構築することであり、メンバーにとって安心感が必要であることを理解する

【5】バリデーション

エンゲージメントは、メンバーが自分は重要な存在であると感じる時、つまり組織の中に自分が評価される場所があると感じる時に生まれます。

●リーダーが行うキーアクション

  • ・メンバーが自分の存在価値を感じられずに退職するというようなことが、絶対に起こらないようにする
  • ・組織に、メンバーを育成し、支援し、その努力に報いるための制度やプロセスがあることを確認する
  • ・リーダー自らが、メンバーを支援し、育成し、奨励する

そして、この5つの要素をまとめるとロードマップが完成します。

あなたが所属する組織のリーダー、もしくはあなたがリーダーという立場でしたら、従業員のエンゲージメントを高めるために、どのようなことを行っているでしょうか? ぜひ、この5つの要素に当てはめて考えてみてください。

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会場では、参加者全員に、トムが用意したユニークなエクササイズワークを通して、ものの見方、ものの捉え方の変化、エネルギーの視点を変えるという体験をしていただきました。
参加者のみなさんは真剣に耳を傾け、メモを取り、うなずきながら聴講されていました。
具体的な事例やリーダーが取るべきキーアクションのご紹介を通して、エンゲージメント・カルチャーを育むリーダーシップについての理解を深めていただくセッションとなりました。

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<講演概要>
タイトル:エンゲージメント・カルチャーを育むリーダーシップ
スピーカー:Wilson Learning Worldwide 社 Chief Operating Officer Tom Roth

<内容>
・組織のエネルギーを失わせるものは何か変化とリーダーシップの影響
・エンゲージメントと従業員の選択についての知見
・リーダーが従業員のエンゲージメントを高めるためにできる主要なアクション

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