第10回 状況によって使い分ける「質問のスキル」

「質問」は営業担当者にとってお客さまとのコミュニケーションを深める手段であり、相手の本音を探るための「道具」でもあります。
質問を使いこなすスキルとはどのようなものか、具体的な例をもとに考えていきます。

今回は直接的に知りたいことを聴く方法、つまり「質問のスキル」について説明します。

「質問」は営業担当者にとって、お客さまの心や考え方に触れるための、最も大切な道具です。

お客さまにとって、答えやすい質問と、そうでない質問があるのをご存じでしょうか?
たとえば、次の2つの質問ではどちらが答えやすいと思いますか。

1.「この問題はいつから起こっているのですか」

2.「この問題について、どうなさりたいのですか」

もちろん1.のほうが答えやすいですね。
こういう質問を「事実を知る質問」といい、お客さまが現在置かれている状況を知るためにするものです。

まだ知り合って間もないお客さまでもこのような質問には気楽に答えられるので、「事実を知る質問」を重ねることで、お互いの信頼関係を少しずつ作っていくことができます。

それに対して、「どうなさりたいのですか」のような質問は、「感情を知る質問」といって、お客さまのニーズや期待を発見するためのものです。
しかし、信頼関係があまりできていない段階でそれを聞いても、本音は出てこないでしょう。
この質問は、「お互いにかなり踏み込んだ話をしても大丈夫」という程度に信頼関係ができた段階になって初めて役に立ちます。

また、「なぜそうしたいのですか」という別の「感情を知る質問」をすることで、お客さまの「個人的な動機」を推し量ることができ、どのポイントをアピールすれば効果があるかがわかります。
しかし、この質問には、単にこちらがわからないから聞く、という以上にもっと大事な役目があります。
この質問に答えることで、お客さま自身も、自分の問題やニーズを明確に意識し、「こうなったらいいな、なんとかしなくては」という気持ちが強く湧いてくるのです。

それをもっとはっきりさせるための質問のスキルがあります。
「両極端をテストする」というスキルです。

「いちばん気に入っている点は?」

「いちばん気に入らない点は?」

を同時に聞くのです。

たとえば、「今のやり方で、いちばん気に入っている点はどこでしょうか」の答えは、お客さまが「今のままにしておきたい」と考えていることです。
逆に「いちばん気に入らない点はどこでしょうか」の答えは、お客さまの問題意識、ニーズのありかを示します。

これをお客さま自身に答えていただくことで、この問題をどうしたいのか、をはっきりと意識してもらうのです(このスキルは、特に、お客さまがすでに他社のサービスや商品を使っている時、それをひっくり返す時に有効です)。

そしてもう一つ、このような「感情を知る質問」に対してお客さまが答えている時には、十分に傾聴し、共感を示すことが大事です。
「つまり、…というわけですね」「…ということですか」という言葉で、お客さまと自分が同じ認識である、ということを確認するのです。

人は、自分の感情をわかってもらった、と思う相手には、親密感と一体感、信頼感を抱きます。



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