
営業力強化
営業力強化とは? 現状分析や社内連携で自社の競争力を高めよう
競合との競争に勝ち残るため、多くの企業が営業力の強化に注力しています。しかし、なかなか成果が得られず、悩んでいる企業も少なくありません。営業力を強化して競争力を高めるためには結果だけを見るのではなく、そのプロセスも含め広い視野でとらえることが重要です。営業力強化に必要な要素や具体的な対策を紹介します。
営業力とは
営業力を強化するために、そもそも営業力とはどのようなものかを理解しておく必要があります。営業力とは、一般的には営業担当者が成果を得るために必要となる総合的な能力を指します。
その能力は「成約率」や「成約件数」といった結果のみで判断しがちですが、結果だけを見ていると問題の本質が見えず、改善につながらない可能性があります。成約に至るまでにはさまざまなプロセスがあり、そのプロセスにも着目して適切な施策を検討することが大切です。
お客さまの信頼や満足を得られたかどうかは、時には成約までのプロセス以上に重要です。それができていれば、仮に今すぐは成約に至らなくとも、ほかの機会にチャンスをもらえる可能性は十分にあります。ましてや、長期にわたる取引の持続は信頼があってこそ可能です。
逆に今回たまたま成約に至ったとしても、そのプロセスにおいてお客さまが不信感を持つようなことがあれば、今後の成果は期待できません。
また、営業力には、「個々の能力」と「チーム全体としての力」の2つの側面があることも知っておく必要があります。社員一人ひとりには、当然得手不得手があります。それをチームでカバーし合いながら各自の強みを発揮することで、チーム全体としての営業力は向上します。
さらに、他部署とも連携を図ることで、会社組織全体としての営業力向上につながります。
組織の総合的な営業力を判断したうえで、対策を検討することが重要です。
営業力を強化するにはまずは現状分析から
営業力強化に取り組むには、まずは現状を分析する必要があります。分析の要素は3つです。
1. 営業担当者の成長フェーズを理解する
営業担当者の成長段階には、大きく分けて次の3つのフェーズがあります。現在のマーケット環境で打ち勝っていくためには、営業担当者がどのフェーズにいるのかを理解します。
- フェーズ1 「業者」
このフェーズの営業担当者は、自社製品やサービスについてひと通りの説明はできますが、お客さまにとっては「製品やサービスを供給する業者」という認識です。
この段階から次のフェーズへ移行する鍵は、製品・サービスの内容や活用法をより的確に伝え、成果につなげることです。
- フェーズ2 「相談相手」
このフェーズの営業担当者は、お客さまからの相談に耳を傾け、お客さまと一緒に課題解決策を考えようとする、相談相手のような存在です。
この段階から次のフェーズへ移行する鍵は、お客さまの課題の本質を見抜き、適切な解決策を提案できるようになることです。
- フェーズ3 「ビジネスパートナー」
このフェーズの営業担当者は、経営的な視点からビジネス戦略を理解し、お客さまがビジネスを展開する上で重要なビジネスパートナーのような存在です。
さらに成長するには、より戦略的な課題解決策を提案し、お客さま企業と自社双方に利益をもたらす存在になることを目指します。
このような成長フェーズを効率的に進めていくためには、カウンセリングが欠かせません。
ウィルソン・ラーニングでは、コンサルティングによるセールス プロセスの推進のために、
『CSP カウンセラーセールスパーソン』というコンセプトの研修プログラムをご用意しております。
また、営業マネージャー向けにはさらに深いコーチングスキルを身につけられる『CCSP コーチング カウンセラー セールスパーソン』という
研修メニューもあります。
各々のプログラムの詳細はこちらをご覧ください。
CSP カウンセラー セールスパーソン The Counselor Salesperson™
CCSP コーチング カウンセラー セールスパーソン Coaching the Counselor Salesperson
2. 求めるフェーズの営業活動を実行するために必要な能力を理解する
ウィルソン・ラーニングの長年の研究により、営業は、次の2つの役割とそれを支える2つのスキルに整理できることが分かりました。1で分析した営業担当者の成長フェーズから営業活動を実行するにはどのような能力が必要なのかを把握しておきましょう。
<営業の役割>
- コンサルタントの役割
お客さまのビジネス全体(製品/サービス、ビジネスプロセス、成功要因)を理解し、情報提供やソリューションの提案、お客さまのビジョンや戦略と結びつける。
- ストラテジストの役割
営業戦略を立案し、商談の見込、お客さま組織内の力関係、競合動向を見極めた上で、その商談を勝ち取るために最適なアプローチを選択する。
<役割を支えるスキル>
- パーソナルスキル
営業活動を着実に且つ創造的に行うために他者・他部門と適切に対話し、率先して前向きな態度で物事に取り組みながら自らの成長を図る。
- テクニカルスキル
自社商品・サービス、その利用・応用方法に関する知識、経営・財務といったビジネス知識を備えており営業活動に活用する。
3. 2の能力について現在のレベルを明確にする
続いて2で把握した「コンサルタント」「ストラテジスト」「パーソナルスキル」「テクニカルスキル」の4つの領域について、現状どのくらいのレベルにあるのかを明確にします。
ここで現状の強みや弱点を明らかにすることが、営業力強化の第一歩です。
以上のプロセスで現状分析を進め、現状と目標のギャップを測定します。大きなギャップ領域については成長機会とし、必要な対策を講じます。また、営業担当者が習得したスキルを定着させて企業の成長につなげるには、適切なマネジメントも必須になります。
営業力強化を成功させるには、何よりも現状分析を正しく行うことです。しかし、リソース的にそれが困難な企業もあるでしょう。
そのような場合には、「SPMS 営業力向上カルテ」で現状分析を行うことが有効です。長年にわたり蓄積されたノウハウにより、現在の営業力を測定し、強みと成長領域を明確にすることが可能です。
営業力を強化するための対策は?
現状分析のプロセスを理解したところで、次は営業力を強化するための一般的な対策を紹介します。
1. 社員一人ひとりにおける営業力強化策
営業担当者個々人で行う対策と、マネジメント側の対策があります。
- 営業担当者自身の取り組み
まずは自社製品・サービスについての知識を身につけます。その際、その周辺知識や、競合他社の製品・サービスについての知識もあわせて身につけておくことは、顧客との対話を深めることにつながります。
例えば、ITサービスの提供において、サービスを構築するのに必要なIT技術の知識が身に付いていると、より説得力のある商品説明が可能になるはずです。
生きた知識を身につけるには、机上で学ぶよりも勉強会や研修会などの場を活用し、現場の具体的な事例をシェアしながら相互に学び合うことが効果的です。成果に結び付く理想的な研修を設計するためのポイントを、「実践的な営業研修を行うために必要な3つのポイント」で解説していますので、ぜひご参照ください。
- マネジャーの働きかけ
マネジャーと営業担当者で協力してスキル向上プランを立てます。プランの内容は、現状分析に基づいて検討します。必要な能力を持った理想の姿を明確にし、理想とのギャップを埋めるようなプランを練ります。
また、プラン作成と同時に、「今月中にお客さまの課題解決に向けた提案をする」といった、具体的な目標を立てます。目標は、現実的で達成可能なものにすることが重要です。
その後、マネジャーは定期的に目標への進捗確認とフィードバックを行います。その繰り返しにより、着実な改善を目指します。努力が実って改善に結び付けば、営業担当者自身のモチベーションがアップし、良い循環が生まれます。
以上のようなマネジャーの働きかけは、営業力強化を図るうえで不可欠です。営業マネジメントの重要性については「営業マネジメントとは? 実践に欠かせない4つの項目と3つのスキル」で紹介していますので、ご参照ください。
2. チームにおける営業力強化策
営業力強化はチーム単位で考えることも大切です。
しかし、営業力強化を進めるなかで、チーム内の競争意識が過剰になってしまう場合があります。無用なチーム内競争を防止するためには、チーム内の風通しを良くし、一体感を持って営業力強化に臨める環境にすることが重要です。
例えば、チーム単位で、職場学習会を実施するのも有効です。
実際の営業の流れでロールプレイ大会をしたり、お互いに成功体験や失敗体験を話したりと、ほかのメンバーとのコミュニケーションを深めながら、営業力強化を図っていくことが可能です。
職場学習会のメリットは、実践現場と近く、学習会の振り返りと実践がそのまま結び付くことです。定例ミーティングの中に組み込めば、営業担当者の稼働への影響も最小限ですみます。
営業マネジャーの負担の増大が懸念事項としてありますが、教材や進行表の作成などは、外部のサービスを利用し、負担を軽減する方法もあります。
ウィルソン・ラーニングでも職場学習会の支援をしています。内容は以下の資料をご参照ください。
3. 社内における営業力強化策
社内を俯瞰し、社内全体の営業力強化を意識することも大切です。
特に意識したいのが、マーケティング部門との組織連携です。
営業部門とマーケティング部門でターゲット層が統一できていなければ、顧客獲得の障害となり得ます。
例えば、あるサービスについて、マーケティング部門の広告戦略と営業が現場で行うサービス提案において、訴求が異なるケースを考えてみましょう。公式サイトで見たサービスを気に入り、問い合わせたお客さまの期待値が、営業から異なる提案を受けて下回ってしまう可能性が考えられます。
そのようなことを回避するため、ターゲット層や訴求方法をすり合わせることが大切です。互いの役割分担を明確にして、積極的に情報共有を図りましょう。
営業部門とマーケティング部門の連携の重要性や成功させるポイントについて、「営業とマーケティング連携を成功させる4つのTIPS」で解説していますので、ご覧ください。
企業全体で営業力強化を図ろう
営業力向上のプランは個々の営業担当者の現状分析のうえ作成しますが、チームでの情報共有や交換も重要です。個人とチーム、2つの視点で効果的に営業力を強化していきましょう。また、企業経営はさまざまな部署が連携して動いています。そのため営業部門だけを見るのではなく、営業以外の部署とも連携しながら、企業全体で営業力強化を図っていくことが大切です。
しかし、スタートは、やはり営業担当者の育成です。営業担当者の育成について参考になる資料を無料でご提供しています。下記から興味のある資料をダウンロードしてください。
【企業と人材】掲載記事「営業人材の育成課題入門」第1回~第2回:変わる営業担当者の役割/2つの役割と求められる能力
【企業と人材】掲載記事「営業人材の育成課題入門」第3回~第4回:営業担当者の成長のとらえ方/営業担当者の営業活動マネジメント
【企業と人材】掲載記事「営業人材の育成課題入門」第5回~第6回:営業担当者のセルフマネジメント/営業管理者が行うべきマネジメント
また、本来人材育成に有効なはずの人材アセスメントをうまく育成につなげられないという声が聞かれます。人材開発におけるアセスメントのあり方や効果的な運用のポイントを紹介する資料もご用意していますので、ご参照ください。