営業とマーケティング連携を成功させる4つのTIPS

営業とマーケティング連携を成功させる4つのTIPS

新型コロナウイルスの影響による経済的ダメージは非常に大きく、経済損失はリーマンショックを超えるとも言われています。コロナ禍においては特に、対面での商談や展示会、来場型セミナーなど従来型の営業戦術を継続していくことが難しくなっており、アフターコロナのニューノーマルにおいて企業の経済活動を維持していくための鍵となるのは、オンラインを活用した非対面戦術の実行における営業部門とマーケティング部門の連携です。

今回は、コロナ禍における営業部門とマーケティング部門が連携するメリットと、営業部門とマーケティング部門の連携を成功させるためのTIPSをお伝えします。

新しい「当たり前」の中で構築すべき顧客との新たな関係性

前回ご紹介したように、アフターコロナの成長戦略では、自社の提供するサービスや商品のブランド力を強化することで認知率を高め、新旧の顧客との信頼関係を深めていくことが急務です。

コロナ禍で経済活動が制限されるなか、新規顧客獲得にかかるコストと既存顧客の維持にかかるコストのバランスを見直したコストコントロールや、より戦略的な営業活動を行うことが多くの企業に求められています。

営業部門とマーケティング部門のありがちな溝

営業部門とマーケティング部門が連携して戦略を立てることが効果的だとはわかっていても、実現は難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。部門間に溝ができてしまう理由の一つに、主にリードの品質問題や課せられた役割の違いを共有できていないという問題が挙げられます。

よくある部門間の溝

1.  リードの品質問題

・マーケティング部門は一定のリード数を獲得しているのに、営業部門で商談につながらない
・マーケティング部門から渡されたリードは受注につながりづらい(リードの成約率が低い)
・獲得した大量のリードを営業部門に丸投げされるため、リードの精査、優先順位付けに膨大な時間を取られる

2.  営業部門とマーケティング部門の優先順位やゴールの違い

・マーケティング部門は市場における競争優位性を築くことを優先する
・営業部門は対面営業を通して時間をかけて顧客との信頼関係を構築することを優先する
・部門に与えられた役割、使命、目標設定、KPIが異なるため連携が難しい
・そもそも使用できる予算が異なる

このような部門間の溝を原因とする営業部門とマーケティング部門の連携不足は、平時においても見られる問題ではありますが、対面の営業活動が困難なコロナ禍において、これらの問題はより深刻なものとなり、企業の営業活動に悪影響を及ぼしています。

営業とマーケティングの部門連携を成功させるための4つのTIPS

では、部門の障壁を取り除き、連携を成功させるためにはどのような取り組みを行えばよいのでしょうか。ここでは、営業部門とマーケティング部門の連携を成功させるための4つのTIPSをご紹介します。

1.役割分担と定義を明確にする

部門連携を成功させるためには、営業部門とマーケティング部門でSLA(Service Level Agreement)のようなものを作ることが重要になります。この合意形成と明文化のプロセスで、それぞれの部門が担う役割を決めていきます。この時、顧客対象となるターゲットのペルソナを明確に定め、双方で認識に違いがないようにリードの定義も明確にします。

マーケティング部門はどのような質のリードをどのくらいの量で営業部門に渡し、営業部門は受け取ったリードに対してどのくらいの期間をかけてどのように働きかけるかなどを双方で話し合い、決めていきます。

マーケティング、インサイドセールス、アウトサイドセールスまでの運用フローと役割を決めます。

顧客接点のタイミングや回数、獲得するリードの量や質、リード精査のスコアリング要件、アプローチ期間についても決め、可視化しておくとよいでしょう。

2.共通のKPI設計を行う

たとえ目指すゴールが同じでも、営業部門とマーケティング部門が別のKPI(評価指標)を設定していると、部門間の摩擦や意見の衝突が生じやすくなります。共通のKPI設計を行うことが必要です。KPIは会社全体の経営戦略にも関連しますので、全社または全部門で共通するKPIを持つとよいでしょう。

営業部門とマーケティング部門が一蓮托生のKPI設計を行うことで、それぞれが担う役割と責務、期待される役割が明確になります。具体的に数値化された共通の目標を持つことで、実現に向けた協力体制が生まれ、部門間連携の成功につながっていきます。

3.コミュニケーションの頻度を高める

意識して部門間のコミュニケーションの頻度を上げましょう。定例会のようなフォーマルなコミュニケーションの他に、メンバー同士のインフォーマルなコミュニケーションも大切です。

営業担当者であれば、顧客との何気ない会話から商談の勝機を見出し、受注に結びつけた経験があるかもしれません。それと同じように、担当者同士の雑談や何気ない会話から、戦略のアイデアや課題解決の糸口を発見できることがあります。部門間の連携を成功させるためにも綿密なコミュニケーションを心がけましょう。

4.営業部門とマーケティング部門の共同でクイックウィン(成功体験)を作る

前述のTIPSを実践し、まずは成功体験をひとつ創出することです。ひとつでも成功体験があれば、担当者の士気も上がります。さらに成功体験を体系化すれば、自社のノウハウとして展開することができます。その成功体験をもとに拡大していけばよいのです。「リードの質が悪い」「量を提供しているのに商談につながっていない」などと相手を責めることや批判することにエネルギーを注ぐのではなく、結果や置かれた状況に対して自分たちはどのような工夫ができるのか、視点を変えてみることが重要です。

エネルギーの向かうベクトルを変えることで新たな視点や発想が生まれます。営業部門もマーケティング部門もそれぞれの強みがあります。これまで培ってきた知見やノウハウを共有し、お互いにアイデアを出すことも大切な取り組みです。お互いに協力し合うことで得られた成功体験は、これまで対立していた部門間の溝を埋め、信頼という強固な絆に変えていくでしょう。

小さくてもよいのです。まずひとつの成功体験を生み出すことが部門連携を成功させる第一歩になります。

4つのTIPSを実践した企業の事例

営業とマーケティングでターゲット顧客のペルソナを共有

中堅B2Bソフトウェア企業のA社は毎年展示会に出展し、見込み顧客の名刺を獲得、それらの名刺に対して営業部門がアプローチをかける営業手法をとっていました。しかし、近年、競合企業の参入もあり、以前のような受注率を維持することが難しくなってきていました。

従来、A社では展示会来訪者が主に担当者レベルであったことから、システム部門担当者をメインの営業アプローチ先に設定していました。しかしながら、競合環境も厳しくなる中、もっと早い段階で購入の意思決定者であるマネージャー層以上との接触を強化する必要性(仮説)を感じていました。

当該仮説を踏まえ、A社ではマーケティング、営業合同のワークショップに初回営業訪問時での顧客マネージャー層以上の同席があった場合、なかった場合での受注率や受注に至るリードタイムの差の分析データを持ち込み、ワークショップの議論トピックとしました。

当初の仮説通り、顧客マネージャー層以上の同席があった場合となかった場合ではその後の受注成果には顕著な違いが見られ、マネージャー層以上をターゲットとすることの重要性が強く認識されました。この共通認識を踏まえ、A社がターゲットとすべきシステム部マネージャー層以上のペルソナの詳述を行い、マネージャー層以上に効果的にアプローチをするためのチャネルやアプローチのメッセージの仮説抽出を行いました。

マネージャー層以上へのアプローチにおいては、ウェビナー(オンラインセミナー)が接触チャネルとして有効であること、また彼らの関心事が担当者と比べてソフトの機能だけでなく、ソフト導入で得られるROI(例:従業員の生産性向上の経済効果等)であることから、ウェビナーのテーマや製品資料もそれらのROIを説くものに改変することにしました。

また、マーケティング部のKPIも従来は単に引き渡しリード数としていたものから、マネージャー層同席の商談数とする等、変更を加えていきました。KPIの進捗を両部でレビューする社内会議を週次で行い、顧客マネージャー層を惹きつけるウェビナーのテーマの企画を両部で検討する等、両部でPDCAを回す仕組みを実践しています。

A社ではこの取り組みを始めてまだ半年ですが、すでに営業成果が出始めています。ウェビナー経由でこれまでアプローチが難しかった企業のマネージャー層との商談を短期間に多数創出できたことで両部の士気が高まるとともに、これまで特に連携を意識していなかった営業とマーケティングの結束が強くなった、連携のメリットを感じている、と同社のマーケティング、営業両部長は口をそろえて語っています。


以上、営業とマーケティング部門の連携を実現させるにあたっての課題、連携を実現させるためのTIPS、およびTIPSを実践した企業の事例をご紹介しました。

昨今の感染者数の推移を見てもわかるように、コロナ禍の影響は長引くことが予想されます。今のうちに御社のマーケティングと営業活動を見直して、両部が連動した効果的な活動ができるように業務プロセスを再評価してみてはいかがでしょうか。

 

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