生産的な会議を実現するファシリテーターとは

スムーズで効率的かつ生産的な会議を実現するために、欠かせない存在であるファシリテーター。ファシリテーターは積極的に参加者の意見交換を促し、中立的な立場で会議を進行します。リモートワーク環境での会議においても、ファシリテーターの存在は非常に重要です。ファシリテーターが担う役割と、生産的な会議を実現するファシリテーションのコツを紹介します。

ファシリテーターの定義と役割

ファシリテーターの定義

人々の活動の場がスムーズに進むように支援して活動を促し、進行の舵をとることをファシリテーションといいます。ファシリテーションの役割を担う人がファシリテーターであり、会議や研修、セミナーなどで進行役を担います。

ファシリテーターは司会者とは異なります。司会者の役割は、会議やセミナーなどを進行台本やアジェンダ通りに滞りなく進めることです。一方、ファシリテーターの役割は、活動の場が活発になるように参加者に発言や気づきを促し、目標とするゴールに向けてファシリテーションを行うことです。

ファシリテーターの役割

ファシリテーターは次の役割を担います。

1.事前準備・段取りの確認

会議前にアジェンダを確認します。各アジェンダの所有時間や発表者、当日の進行スケジュールを把握し、スムーズに進行できるよう事前に段取りの確認を行います。また、参加者の情報や当日の席次も頭に入れておきます。

2.タイムキーパーの任命

タイムキーパーは、話し合いの場の時間管理を行います。議論が白熱したり、発表や話し合いに集中したりしていると、参加者は時間が経つのを忘れてしまうこともあります。進行スケジュールどおりに進めるためにも、タイムキーパーの存在は重要です。会議全体を俯瞰(ふかん)し、場を取りまとめるファシリテーターが、時間まで管理するのは難しい場合があります。あらかじめタイムキーパーを任命しておくことで、ファシリテーターは自分の役割に集中できるのです。

3.ゴールを定める

会議の目的地となるゴールを定め、参加者全員と共有します。何をテーマに議論するのか、何のためにその活動を行うのか、今日の会議では何を決めるのか、会議終了後はどのような状態になっていたいかを明確にします。目的地を明確に定め、目指すゴールに向けてファシリテーションを行うのです。

4.安心、安全な場をつくる

参加者が安心して議論を進めていけるように、話しやすい場づくりを行います。ファシリテーターは常に中立な立場で、一人ひとりの意見をしっかり傾聴する姿勢が大切です。意見が対立して場の雰囲気が悪くなった時は、発言の意図や参加者の心理状態を読みとり、参加者全員が心地よく話し合えるように調整します。

5.参加者の意見を引き出す

ファシリテーターは、意見交換が活発に行われるようにサポートします。発言者が偏らないように参加者全員に発言を促し、アイデア出しやブレインストーミングの場では、無言の会議にならないよう参加者の意見を引き出します。また、少数派の意見やアイデア、発言者が批判の対象とならないように配慮し、意見の対立を調整しながら中立的な立場で会議を進行します。

6.意見を取りまとめる

多くの意見やアイデアが出るほど、参加者の達成感や満足度も上がります。自分とは異なる視点や多様な意見を聞くことで、新たな気づきを得るきっかけにもなるのです。ファシリテーターは、会議で出たさまざまな意見を取りまとめ、会議の目指すゴールへと導きます。多様な意見を効果的に取りまとめるためには、フレームワークを活用することもあります。

7.決定事項と次のアクションの合意

ファシリテーターは活発な議論が行われるようにサポートしながら、参加者全員の合意形成を図り、意見の収束を行います。満場一致で決まるのが理想的ですが、必ずしもそうなるとは限りません。少数派の意見にも配慮した決定事項を取りまとめ、会議の目指すゴールへと導きます。一方的に決まってしまった、発言できなかった、意見を聞いてもらえなかった、といった否定的な感情を抱かせないように進行することが重要です。

多様な意見を取りまとめるファシリテーターが求められる

会議にはさまざまな形態がありますが、上意下達で一方通行の会議では、参加者のモチベーションは上がりません。活発な意見交換もなされないでしょう。会議で闊達(かったつ)な意見や多様な意見を出し合って議論することで、意思決定の質が向上します。参加者全員に目を配り、多様な意見を取りまとめるファシリテーターのいる会議といない会議では、参加者の達成感や満足度、会議の効率や生産性は異なるでしょう。発言しやすい場をつくり、中立的な立場で議論をサポートし、意思決定を促すスキルを持つファシリテーターは、生産的な会議を実現するために不可欠であり、企業から求められる存在なのです。

会議に役立つファシリテーション手法

ここでは、生産的な会議に役立つファシリテーション手法を紹介します。

チェックインとチェックアウトの実施

いきなり会議の本題に入るのではなく、会議の開始と終了時にチェックインとチェックアウトを行います。これは、場の空気や参加者同士の気持ちを調整し、発言しやすくするためです。会議の開始と終了時に、全員がひとことずつ今の自分の気持ちや状態などを話し、参加者と共有する時間をとります。ちょっとしたゲームやクイズ、頭の体操などを行うアイスブレイクや、スペースチェック(目を閉じて深呼吸し、簡単な瞑想(めいそう)を行って自分の内側を感じてもらい共有する)などがあります。

グラウンドルールを設定する

会議における約束ごとをグラウンドルールとして設定し、参加者全員が合意の上で順守することを確認します。たとえば、会議中に内職をしない(会議とは無関係のメールをしない、明らかに会議と異なる資料を眺めない、他者の発言中に別の仕事を進めないなど)、他者の発言を遮らない、必ず全員が発言する、意見や発言を批判しない、などです。あらかじめグラウンドルールを設定することで、参加者は安心して会議に参加できます。

KPT法を活用する

KPT法とは、仕事やプロジェクトの現状分析や課題を改善するためのフレームワークのひとつです。下記の3つの要素に分けて現状分析を行います。

K:Keep(継続)= 良かったこと(このまま継続すること)
P:Problem(課題)= 悪かったこと(今後は継続しないこと)
T:Try(解決策)= 次に挑戦すること

3つの項目に当てはまるものを付せんに書き出し、KPTそれぞれの項目に分類してホワイトボードに貼り付けていきます。取り組んでいる仕事や活動を改善するための振り返りを行い、今後どうするかを考え、結果サマリーをその場で確認し合意します。

ファシリテーションスキルを身につけるには、ファシリテーションに特化した研修やセミナーに参加して、専門家から知識を学ぶことが必要です。知識を身につけ、実践と経験を重ねていくことで実力がつき、ファシリテーションスキルが磨かれていくことでしょう。

 

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