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シームレス社会の到来と「学び」の変化の関連性

8月上旬、千葉県内の建設中の高速道路を会場に行われたメルセデスベンツSシリーズの発表会では、スマートフォンにダウンロードしたアプリを使って無人で車を縦列駐車させる新機能が披露され、取材に訪れたメディアにも大きな驚きが広がったそうです。

最新の自動車はスマートフォンと連動して、これまでできなかったさまざまことができるようになっています。これをテレマティクス・サービスと言い、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報科学)の融合を表しています。

テレマクティス・サービスのなかで、もっとも普及が進んでいるのが、スマートフォンと、カーナビの地図の連動です。自宅など自動車の外で検索した店舗や、レストランの情報をカーナビに“移動させる”ことで、カーナビの面倒な設定が省略できます。目的地の近くに車を止めた後は、情報はスマートフォンに引き継がれ、“ラストワンマイル”の道案内を行ってくれます。

数年前を思い返してください。カーナビは、できるだけ多くの店舗やレストランの情報を記憶させることを競争してきました。しかしカーナビの画面上で検索しなければならない点は変わりません。つまり自分で持っている情報とカーナビの中の情報をつなげるという作業が必要でした。

テレマティクスのサービスでは、自分のスマートフォンのなかの情報が、カーナビとリアルタイムでつながっているのが特色。情報に自分の情報、機械の持つ情報という境目がなくなったのです。テレマティクス・サービスとは言い換えれば車のIoTですが、IoTは生活の境目をなくすイノベーションとも言えます。我々ウィルソン・ラーニングが携わる「学び」においても直面する変化です。

学習したい人は、できるだけ学習の場所や場所の制約をなくしたいと考えます。いつでも、どこでも学びたいと思ったときに学べる環境が求められています。われわれは人材育成のポータルサイト「Engagement Portal One」の活用で、この制約を少しでもなくすことができれば、と考えます。学ぶための道具(デバイス)も、パソコンから、スマートフォン、さらにはスマートウォッチまで、幅広く求められています。学んでいる時とそうでない時の境目が限りなくなくなってきているのです。

そこでもう一つ、重要となるのが、学ぶプログラムの対応です。いつでも学び始められるようにすると同時に、比較的短時間で、ひとつのまとまりを学習できるように設計する必要があります。なおかつ短いまとまりを継続的に学び進めていくことで、長時間の学習と同等の効果を得られるようにしなければなりません。

ウィルソン・ラーニングでは、学習の単位を「ラーニング・オブジェクト」として独立完結させ、その組み合わせでひとつのまとまったプログラムを作るという考え方を取り入れてきました。今後も、境目のないIoT社会にふさわしい学習の単位とは何か、について考えていきたいと思います。

【社長コラムとは】

小さな変化と変化が共鳴して、世界を動かすイノベーションを生み出すことがあります。私たちが提供する「学び」や人材育成も、一見関係ないと思われる世の中の動きとつながって、大きな変化が起きる可能性を秘めています。明日の学びを占うヒントになればと、街なかの小さな変化に目をとめて行きたいと思います。

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ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社   
代表取締役社長   
為定 明雄