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海外現地法人と日本の本社をつなぐ赴任者の役割とは

お客さま企業の課題や疑問について、ウィルソン・ラーニングのコンサルタントがQ&A方式で、わかりやすく解説する【コンサルタントの視点】シリーズ。 

今回のテーマは「日本法人のグローバル化」シリーズ2回目です。

  1. 海外現地法人の自律化を推進するローカルリーダーの育成
  2. 海外現地法人と日本の本社をつなぐ日本人グローバルリーダーの育成
  3. 理念やMissionをベースとしたグローバル経営層育成

今回は上記3つのテーマの中でも海外現地法人と日本の本社をつなぎ、企業全体のトランスナショナル化を推進する日本人グローバルリーダーの育成に関して、三浦 英雄(みうら ひでお)が担当いたします。

Q1:海外の現地法人の自律化と並行して日本人赴任者に求められる役割が変化してきているといわれますが、具体的にどういった変化が起きているのでしょうか?

 

これまでは、いわゆる新興国へ派遣される赴任者の主な役割は、ローカルスタッフへの技術移転・教育が中心でした。彼らの赴任先は日本や欧米諸国のような成熟したマーケットではなく、市場も組織も成熟度が高くないことから、赴任者も技術力の高い人材が中心でした。

赴任者の多くは日本における技術の専門職であることが多く、海外経験がないまま、さらにいえばマネジメント経験もないままに赴任することも少なくありませんでした。そして帰任した後、海外赴任の経験はキャリアとして連携することはなく、現地には代わりに違う技術者が赴任するというサイクルが回っていました。

各海外現地法人が日本市場、あるいは”先進国の市場で販売する製品を作るための生産拠点”として成り立っている場合は上記のやり方が常でした。しかし日本のマーケットの縮小化に伴い、海外の新興国地域自体が企画販売を担う必要性が出てきています。そういった市場変化に伴い、日本人赴任者に求められる役割は大きく変わってきているのです。

海外のマーケットにフィットした商品開発やビジネスプロセスの構築のためには、現地に精通した人材によるローカルマネジメントが必要です。そしてローカル人材による経営および主要なマネジメントができるようになるためには、「現地の自律化」が欠かせません。そうした「現地の自律化」を前提にした上で日本人赴任者に求められる役割は、自身がマネジメントを行うかつ技術を伝承する、というだけではありません。
現地に対して理念・ビジョンの共有をし、より求心力を高めること、そして後継者を育成することが求められています。本社の赴任者を減らし、現地主体で経営ができる状態をリードしていくことが必要なのです。

Q2:日本人赴任者が求められる役割を遂行する上での課題は何ですか?

 

赴任者は多くの場合、1ランクおよび2ランク上のポジションにつくケースが多いため、会社からの期待行動の遂行自体が難しいケースが多く、後継者育成まで意識も行動も及ばないことが多いという点です。

日本人はコンテクスト・コミュニケーションが高いといわれており、組織としての理念や相手への期待を言葉にしなくても伝わる傾向があります。また、市場も組織も安定しているため、仮にマネジメント力が不足していても社員一人ひとりが業務遂行することで組織自体は回りやすいのです。

ところが、異文化マネジメント環境下、特に組織の成長段階では、管理者は組織として目指す姿を伝達し、目標や期待を伝達するだけでなく、ミッションやビジョンを理解し伝え、自身が言動で体現する必要性があります。
しかし、暗黙知の日本のカルチャーで育っている人間にはこの「言語化して人に伝える」ことが非常に難しい。ここが大きな課題となります。

さらに、海外に赴任して、自分自身がマイノリティという環境下でマネジメントを行い、パフォーマンスを発揮するには試行錯誤と困難を何度となく乗り越える精神力が求められます。そんな厳しい毎日の試行錯誤の中で、自身の経験を体系化・言語化し、暗黙知を伝えるという時間をあらためて持つことは難しい……ですので、せっかくの実践を通じたナレッジが暗黙知のままで終わってしまうケースが多くなるのです。

1. 自律化推進のため、意志決定の基盤としての理念ベースのマネジメント力
2. ストレッチアサインメントに応じる役割遂行上の能力
3. 異文化環境の中でパフォーマンスを発揮するための経験整理と暗黙知の共有

この3点が現地法人自律化推進をする上でも重要になってくると考えます。

 Q3:赴任者が現地法人を自律させる上で重要なスキルはどういったものなのでしょうか?

 

一番重要なのは経営視点です。ビジネスを俯瞰し、持論を持つことができているかどうかという観点です。海外赴任というと言語や異文化スキルが注目されがちですが、じつは自分なりのビジョンを持ち会社の理念やビジョン、マーケットの状況と結び付けて考えられることが本社のトランスナショナル化との連携において求められます。

上記に加え、文化や習慣的な違いはもちろんですが個々人を見て人を活用し、育成することができる、そういったマインドが一番重要であると感じます。個人のスキルや特性、想いを可視化し、活用する、つまり戦略遂行を可能にするタレントマネジメントスキルが必要なのです。

Q4:そういったスキルを赴任前に補完することは可能ですか?

 

赴任してみて初めてわかることはたくさんありますが、赴任前にレディネスを整えるということは必要ですし、可能です。大きく分けて二つの観点が考えられます。

一つはタレントマネジメントを理解する糸口として、個人の言動をもとに相手を理解する指標を知ること。
指標を知り、自身の言動を調整することで生産的な関係構築に導くためのスキルを学び、実践するのです。

赴任前に異文化理解のための研修を行うケースもありますが、知識としては入っても実践知としての納得感は、異文化環境に行き関係構築を経た上でしか得られないといわれます。一方、個人への対応スキルを学び、実践知を積むことは異文化環境でのマネジメントのハードルを下げることができます。

二つ目は、マーケット感度を高め、経営視座での問題意識を持つためのセッションや機会を持つこと。
組織に与えられた役割の中だけではなく、自分なりのビジョンを持つためのディスカッション機会を与えることで、企業の理念、ビジョンを自分の言葉で表現し、周囲に影響力を及ぼす必要があります。

個人として社会をどうしていきたいのか、会社をどう成長させていきたいのかという思考、経験整理の機会と暗黙知の共有を体験として積むことが重要です。

グローバル経験をさせることは社員のストレッチアサインメントのひとつのポイントとなる機会。
赴任前、赴任中、赴任後と一貫して赴任経験を整理し、自分のリーダーシップポリシーやビジョンをしっかり持てるようにすることが企業全体のトランスナショナル化推進においても重要となる。

お申込みは終了しました

「日本人赴任者のストレッチアサインメントに向けて」

開催概要

【日時】
 2017年10月27日(金) 14:00~17:00(開場13:30)

【内容】
   ● ウィルソン・ラーニングにおけるグローバルケーパビリティのご紹介

   ● これまでの海外赴任のスタイルと今後求められるグローバル人材育成の違い

 ● 赴任前(プール人材に向けた教育、期待の伝達)

 ● 赴任中(赴任経験を整理し、体系化するマネジメント研修)

 ● 赴任後(経験整理、次へのキャリアアップ)

 ● 赴任者用ポータルサイトの活用事例

【参加費】
   
無料

【会場】
   ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社
   東京都港区六本木一丁目10番6号

※最寄駅
   東京メトロ南北線 六本木一丁目駅 中央改札口より徒歩5分
   東京メトロ日比谷線 神谷町駅 4b出口より徒歩5分

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■ コンサルタント
 
 
三浦 英雄(みうら ひでお)

ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社

執行役員 パフォーマンスコンサルタント

グローバル展開するリーディングカンパニーにおける事業変革、価値創造に関するコンサルティング、プロセス設計、ファシリテーションを行う。
近年、日系企業のアジア市場において、現地法人自律化に伴う人材育成の課題解決支援を行う。なかでも、現地日本人幹部向けリーダーシッププログラムのファシリテーション実績を多数有する。

■ お問い合わせ窓口

グローバル化に向けたコンサルティング、講演などのご依頼は、以下にご連絡ください。
  ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社  
  TEL:03-6381-0225 FAX:03-6381-0228    Mail:marketing@wlw.co.jp