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【ATD2018】プレカンファレンス~人材開発分野でのキャリアアップ講座

ATDでは人材開発のキャリア養成、Learning and Development 部門のプロフェッショナルの認定資格やATD推進の専門分野のプログラム等をさまざまな方法で提供しています。
オンラインやカンファレンス会場で受けることができます。特に国際会議・展示の開始前の数日間は、年に一度の国際会議ということもあり、同会場で人材開発・能力開発のキャリアアップのために数多くの講座が一斉に行われます。
San Diegoより、ウィルソン・ラーニングの浅井が5/3-5のATD2018プレカンファレンスの様子をお届けします。

必要な時に必要な場所で学ぶために~Blended Learning(ブレンデッドラーニング)とは

今年はATDの会期前に実施されるプレカンファレンスセッションから参加しました。
今回は学習環境の変化を効果的に扱うための手法として活用されるBlended Learning(ブレンデッドラーニング)のサーティフィケーションプログラムについてご紹介します。

■ ATD Career Development Stack: Where Do you Want to Go?(ATD公式記事)

組織・人材開発の専門資格・認定プログラムの種類
(ATDのL&Dキャリア開発フレームワークより)

  • Certification(サーティフィケーションプログラム):
    人材開発で必須となるスキルや分野別に基礎知識と応用能力を備えていることを認定するコース。
  • Master Series(マスターシリーズ):
    ファシリテーション、インストラクショナルデザイン等、専門分野別の認定プログラム。スキルアセスメントを有する認定コース受講とファイナルプロジェクト。
  • Associate Professional in Talent Development(APTD):
    2017年から新たに導入されたプロフェッショナル認定。3つの専門分野の筆記試験と人材育成業界での経験3年以上。
  • Certified Professional in Learning and Performance(CPLP):
    ATDの認定する人材開発のプロフェッショナル認定。10個の専門分野から成りたつ筆記試験と、1つの専門分野の実技試験にて取得可能。(人材育成での経験5年以上)

サーティフィケーションプログラムの流れ~Blended Learningコースの例

サーティフィケーションプログラムの内容にもよりますが、多くがプレカンファレンス期間2~3日間のプログラムが多いです。 Blended Learningのサーティフィケーションは、ポータル経由での事前課題、プレカンファレンス期間のクラス形式の2日間講座と、最後に会期後のオンラインクラスへの参加と課題プレゼンが必須となります。

講師について

Blended Learningのサーティフィケーションプログラムは、ATDと当プログラムを共同開発したLearning Rebels社のCLO(Chief Learning Officer)Shannon Tipton氏が講師です。これまでに様々な組織の人事を担当し、Learning Rebelsを設立。MicrolearningやBlended Learningの書籍執筆にも携わっており、ATD会期中のこれらのトピックのセッション講師も担当されます。

”I teach what I preach(教えることを自らも実践)”がモットーで、特にBlended Learningを成功させるポイントの一つとしてあげられる、「運営側、デザイナー、そして講師がクラス環境以外の学習アクティビティに関与すること」を実践している。コース開催前には、学習ポータル上での事前課題やディスカッションに一つひとつ返信をし、フィードバックをし、インストラクショナルデザインナー向けのブログの更新にも専念するなど、このL&Dに対する熱意と情熱が伝わってくる方でした。

参加者について

職種は、コーポレートの人材育成部門やコンサルタント、カリキュラム構築、テクニカルライター、大学・教育関係者、
業界は製薬、製造、アメリカ海軍・陸軍等、出身もアジアはインドネシア、ロシア、メキシコ等さまざまなバックグラウンドを持つ15名が参加しました。

コース事前課題

 

サーティフィケーション用のポータル経由で次のような事前課題に取り組みます。

  • 事前課題1:ポータルのディスカッションボード上での自己紹介
  • 事前課題2:Blend Learningを取り入れてみたいプログラムの情報収集
  • 事前課題3:課題(読み物や映像を見て、それに関するディスカッションによる意見交換)
    - ATDの情報誌 ”Infoline: Blended Learning”
    - Grovoの記事“7 things We Learned From Deloitte’s Modern Learner”(デロイト社からリリースされているモダンラーナーについてのインフォグラフィックとそれに関連した記事)
    - Blended Learningを解説したビデオ

2日間クラスについて

 

2日間のクラスはグループ・チームワークやディスカッションを中心としながら、次のモジュールをカバーしました。

  • モジュール1:Blended Learningの定義とデリバリーメソッド
  • モジュール2:Blended Learning導入のためのキーポイント
  • モジュール3:Blended Learning導入のためのリソース
  • モジュール4:Blended Learningを使ったカリキュラムデザイン
  • モジュール5:Blended Learning導入に伴う課題と心得
  • モジュール6:2日間の振り返り、オンラインクラスに向けた課題準備の案内

中間課題

Blended Learningの各デリバリー手法において、アサインされた2種類の最近使用されているツールを各自リサーチし、リサーチ提出&プレゼンの準備

バーチャルクラス(シンクロ型)

Blended Learningのプログラムであるため、当プログラムは会期後の数単元をデリバリー手法の一つ、受講者が同じ内容を同じ順番で学んでいくシンクロ型e-learning、バーチャルクラスで行います。

  • モジュール7:Blended Learningに活用されるツール
  • 課題プレゼン:中間課題のリサーチの発表
  • モジュール8:Blended Learning導入に向けたビジネスケースの構築

Blended Learningでカリキュラムをデザインする際に、近年よく使用されるツールの紹介からはL&Dで知っておくべきツールのトレンドを掴むことができます。

当プログラムの見どころ

Blended Learningについてのプログラムのため、このプログラム自体もBlended Learningのポイントを掴んだコースデザインと構成でした。いくつかご紹介いたします。

  1. クラス全員がポータル上で自己紹介をあらかじめ行っていたことで、クラス初日からお互いのバックグラウンドやコースへの期待や目的を把握することができ、短いプレカンファレンス期間のクラスの時間を有効活用することにも繋がりました。
  2. 事前課題は、Blended Learningのデリバリー手法の一つでもある自己学習(Self-study)のメリット・価値を高めるために、クラスで学ぶ内容と重複させることなく、一方であらかじめ行っておくことでクラスでの学習を最大化できるコンテンツで構成されています。事前課題の内容をクラスで繰り返す時間は設けられておらず、クラスではこれらの課題に取り組んだことを前提にどんどんスピーディーに進んでいきました。事前課題の時点で大変な部分もありますが、Blended Learningでカリキュラムデザインをすることにより対面型クラス形式に対して副次的・予備的に考えられがちなクラス前後の学習アクティビティにも同等な価値を持たせ、そして長期的に自らの学習に責任を持つ習慣をつけるための有効な方法になります。
  3. クラスでは対面型であることの価値を高めるために、ディスカッションや実践を取り入れて行われます。さまざまな業界やバックグラウンドの人と、今後もお互いの成長を助け合うコホート(同期)のネットワーキングの機会、そしてBlended Learningの実現に向けた現状の課題や挑戦等、講師だけでなく受講者同士の経験や意見交換からも学び合えることがクラス形式の最大のメリット。

Blended Learningのプログラムからのポイント

Blended Learningの定義

各学習目標達成に適したメソッドを活用してデザインされた学習カリキュラム

Blended Learningとは?

  • Blended Learningは、まったく新しいカリキュラムデザインの手法のように思われがちだが、事前課題や研修やカリキュラム前後の学習アクティビティの性質と学習目標を見極めて学習環境をデザインするという点では、これまでも行われていたこと。Blended Learningにおけるカリキュラムデザインの基礎と体系の性質を掴むことでデザイン可能となる。
  • しかし、学習環境は急速に変化している。バーチャル学習の発展や、従来からのクラス形式の学習環境を効率的・効果的にするテクノロジー発展は進化しつづけるため、L&Dプロフェッショナルとして常に受講者の学習環境に合わせたツールへの知識を修得する努力が必要である。
  • 注意したいのは変化を遂げているのは、人間の学びのメカニズムではなく、学習や職場環境。特に情報社会化が、業務・学習であっても一人ひとりが一つのタスクや活動にかけられる時間が著しく減少傾向にある。そのため、効率的かつ効果的に学ぶ環境作りのために、さまざまな手法を受容することがBlended Learningでデザインするための第一歩。

Blended Learningのメリット

  • フレキシブルな学習形態を最大限に生かした学び
  • テクノロジー融合することによる低コスト化
  • 学習プログラムにおいて一貫した学習価値の向上
  • 必要な時に必要な場所で学べる

L&Dプロフェッショナル必見 Blended Learningデザインのためのポイント

Blended Leaningとは最新技術のよさからとにかく何でも混ぜ合わせる(ブレンダ―)ことではなく、学習目標に見合った手法を融合させること

さらに、対面型クラスとe-learningの融合だけではなく・・

  • ビジネス戦略と学習目標の特定の細かな関連付けのカリキュラム設計から始まり、
  • 受講者の学習効果・効率と学習目標の達成に最適な学習環境にフォーカスし、既成概念の枠組みにとらわれずに設計する力、
  • 効果的で魅力的な学習環境をシステム工学的に構築するために、学習環境の変化や学習支援手法やデリバリーツールを探求・情報収集し、受講者に合わせた環境デザインを見極めること
  • カリキュラム制作部隊と講師、参加者、運営、組織が育成プロジェクトの一体となり対面型クラス環境以外(研修の案内や事前課題等ポータル上で行われるコミュニケーション)要素にも同様の価値を提供する姿勢とコミュニケーションにかかる
  • デリバリー方法はカリキュラム上の資材や受講者の行う動作一つひとつの価値・性質に適したものを見極め、予備的・副次的ツールとして扱うのではなく、偏りなく同等の価値を持たせるためのデザイン設計が必要となる。

Blended Learningとは、インストラクショナルデザイナーが、ビジネス戦略に紐づいた学習環境の実現に向けて、カリキュラム全体のコミュニケーションのマネジメントや学習環境の総プロデューサーとなることが求められます。チャレンジングでもありますが、受講者の学習効果を上げるための環境作りを最大限に活かせるものです。 オンラインクラスの受講報告も、後日改めてご紹介いたします!

6日からはセッションや展示会場の準備が進み、コンベンションセンター内も賑わってきました。いよいよ7日からは基調講演と展示が始まります!

◆ ATDホームページ:https://www.td.org/ 

■ レポート
asai 浅井 綾子

ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社
プログラム開発担当(米国駐在)

米国ミシガン州立大学コミュニケーション学部卒、同大学院修了。異文化コミュニケーション、医療・公衆衛生分野を対象としたヘルス・コミュニケーションを中心に研究。在米日本語補習授業校 初等部教師、日系医薬品開発業務受託機関(CRO)での勤務(クオリティマネジメント、メディカルライティング)を経て、2015年ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社に入社。2017年5月より同社米国支社に駐在。

■ お問い合わせ窓口

記事の内容に関するご意見、ご質問などは、以下にご連絡ください。
  ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社  担当:渡辺
  TEL:03-6381-0225 FAX:03-6381-0228    Mail:marketing@wlw.co.jp

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